日本慢性期医療協会

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第27回日本療養病床協会通常総会記念会長講演
「日本療養病床協会のすすむべき道」
講演趣旨 (平成18年3月19日)

日本療養病床協会 会長 木下毅

講演資料(PDF:64KB)

 介護療養型医療施設の廃止は突然提案され、反対意見があるにもかかわらず介護給付費分科会で承認されてしまった。これは本来給付の金額を決める介護給付費分科会の業務ではないが、厚生労働省老健局は強引に利用したとしか考えられない。この考えの基になったのは日本の病床数や平均在院日数が長いという当局の主張による。介護療養型医療施設の費用が他の施設よりも高いというが、これは決められた報酬によるものであり、重度療養管理やリハビリテーションの状況なども勘案する必要がある。人員配置も最低基準の介護6:1で表現されているが実際にはほとんどが4:1介護をしている。療養環境でも当協会の調査では会員病院の42%は8㎡以上の病床面積を有することから、介護療養型医療施設は療養環境が悪いという表現には怒りを感じる。

 また、患者分類の考え方は、その基になったタイムスタディの平均時間を1とし、1.15以上を医療区分2、1.6以上を区分3としているので、はじめから医療区分1は50%以上になるように設定されている。医療区分1が入院の必要がないとの判断は保険局に利用されてしまった感がある。タイムスタディが目的外利用されたと言える。

 医療区分による報酬が導入されると大幅な減収になる病院がでてくる。今月末に詳細な通知がでるのでそれを見てから今後の対応を考えなければならない。方法としては一般病棟になる。一般病棟の特殊疾患療養病棟にする事もひとつの方法である。このときには患者の状況、医師・薬剤師・看護職員が病院全体として基準を満たさなければならない。病院として基準を満たしていれば特殊疾患療養病棟は4:1看護でかまわない。ただし2年間の経過措置である。

 都道府県では一般病棟から療養病棟への変更を認めないといっているところもあるので、2年後にどうなるかは定かではない。

 いずれにしても、今後の療養病床は入院機能だけでなく在宅支援機能の充実が必要となってくる。

 今後の当協会の仕事は医療区分1がいかに不当な分類であるかをデータを集めて主張してゆくことにある。会員病院の皆様の意見を集約し改正に努めたい。また転換後の老人保健施設の機能も検討しておく必要がある。元来言われていた在宅支援・復帰機能だけでなく、生活重視や、医療提供体制の充実も必要である。特に介護老人保健施設と介護老人福祉施設は一本化も含めてあり方を早急に検討する必要がある。介護療養型医療施設を廃止する一方で、介護老人福祉施設は今後も整備を続ける方向は考え直すべき必要があろう。

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